はじめに

初めまして。

こちらは、KAIBAが運営するCITY HUNTER(北条司 氏原作)の二次創作ブログです。

2012年秋頃、本屋でエンジェルハートを見掛けたところ、
AHがなんとCHの巻数(Jump Comic全35巻)を越えていた!!
学生時にCH連載をタイムリーに読み(…〇十年前です(汗))、
当時ハマりまくっていた私には、AHはずーっと受け入れがたかったのですが、
今はもう通巻40(1stシーズン+2ndシーズン)(2013年11月現在)。
ある種のショック(?)を覚え、ついAH大人買い、一気読み。
(AHついては、「考察」でそのうち…)

で、一気読み後にCH熱が再炎上。二次創作サイト読みまくり。
で、みなさまの二次創作に共感したり、感服したり…。
で、自分の妄想が暴走したのがコチラのブログです。

主に、原作では描かれていない“隙間”の勝手な解釈と、
最終回~数年後のRyo&Kaoriを想像した内容ですが、
思いっ切り管理人KAIBA解釈のR&Kです。
なので、北条先生原作の世界観を崩したくない方は、早々にお帰り下さい 。
ここでお帰りにならず、内容に不快を感じた場合の責任は負えませんのであしからず。


★ 本ブログは個人的な趣味の範囲で開設したブログであり、
  原作者、各出版社、テレビ局等各関係者様とは一切関係ございません。
  また、全ての作品はフィクションであり、
  実在の個人・団体・事件等とも一切関係ありません。

★ 管理人はブログ&二次創作の知識がアヤシイので、色々不手際があると思います。
  予めお詫びいたしますm(_ _)m
  心優しい方々のアドバイスお待ちしています。

★ 拍手・感想・ご意見大喜び。リクエスト(あるかいな…)随時募集。荒らし御免。

★ CITY HUNTERファンに限り、リンクフリー、アンリンクフリーです。
  ご連絡頂けたら更に嬉しいです。
   リンク用URL:http://kiaab.blog.fc2.com/blog-entry-1.html
   ブログ名:Buliitt…その破片

★ 本ブログ内で発表した作品の使用、転載、引用及び各記事の直リンクは許可制です。
  使用などをご希望の場合は、コメントへ非公開でご連絡下さい。 
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★ 本ブログ運営に際してのガイドライン
① 本ブログは、原作者北条先生及び関連の著作権所有者から
直にツッコミが入ったら、即時撤収します。
② 内容につき、関係官庁から法的ツッコミが入ったら即時撤収します。
③ 管理人は、原作のコピートレース、コラージュはしません。
(「戯言 そもそも論」のみ例外)
   模写については、原作の引用部分を明記します。
④ ご訪問者からのツッコミは拝聴しますが、ブログ撤収はしません。

 
★ 基本設定:
(長編)原作エピソード+原作終了数年後
(短編)原作設定+〇年後?(ご想像におまかせ)

★ 登場人物:原作キャラ+オリジナルキャラ
★ 冴羽リョウ:冴羽燎と表記します。
★ 原作引用:引用箇所についての注記は、『CITY HUNTER COMPLETE EDITION』
 (徳間書店)の巻数とエピソード番号を示します。解説では、『CH C/E』と略します。
★ 更  新: 1~10日に一度が目標です f(^_^;

★ こんな2人もありよね!!
 と、おおらかに受け入れて下さる方、どうぞコチラのアナザーCHワールドへ!!

since 2013/ 3/26

目次

目次
★CITY HUNTER 二次小説(長編)

※発表順です。( )内は、お話の設定年月です。

「花信風」全18話(1992.3)
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18

「青嵐」全21話 (1992.6)
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21

「つむじ風」全30話(1993.9)
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30

「つむじ風の足跡」全5話(1993.10 「つむじ風」のおまけ話)
1、2、3、4、5

「透間風」全37話(1991.11)
pro、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、epilogue

「春疾風」 全32話(1991.9)
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、epilogue

「初嵐」全--話(1991.11) 
1、2、3、


★CITY HUNTER 二次小説(短編/時間シリーズ)
※ 発表順ではありません。お好きな時間をお楽しみください。
00:2001:1001:4502:2005:2509:5511:4512:5513:3014:4015:1015:5016:1517:1019:1019:5020:15【A面】20:15【B面】22:2022:50【A面】22:50【B面】

★CITY HUNTER 二次小説(短編/Newsシリーズ)
※発表順です。

三保の松原24億円?イリノイの遺品懲り五輪?中秋の月光に60年の家族(前)、(後)それでも、だから、これからを憲法記念日ブリタニ―29

★CHの考察
※発表順です

Report#1. メディアミックスReport#2. 城市猎人 (中国版「シティーハンター」)/Report#3. 冴子&海坊主
Report#4. 神回の音効report#5 冴羽リョウのもっこりについての浅はかな分析report#6 「愛宿」が凄かった件

★賜物
小谷野さま」/「ヨフカシさま、えびすなさま」/「あさのみさま

★イベント
「City Hunterへの依頼大募集」(御礼)/「調査報告書/PROJECT O-31」/Trick-or-treat!

初嵐-5

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初嵐-4

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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

初嵐-3

田岡一純は、法の抜け穴を見つける天才だった。
詐欺すれすれのビジネスモデルを構築したり、法に触れているビジネスを合法化させる方法を伝授したりするのはお手のもので、弁護士顔負けの法律スキルを持っていた。
今回盗まれた書類もどうやらそういったビジネスモデルの検討資料だったらしい。だが、素人がそうやすやすと理解できる内容ではなかったらしく、元部下は盗んだはいいが理解できない内容にお手上げで、返却してきただけのことだった。

燎は、田岡のビジネスそれ自体を非難するつもりはなかった。
だが、どんな形であれ香を巻き込むのは許せない。何がビジネスデートだ、やっぱり行かせるんじゃなかったと後悔しても始まらない。田岡の目的が何であれ、香を探して連れ戻さなければ後悔では済まない地獄が待っている気がした。

時間は23時に近い。
食事に行っただけであればもう帰宅している筈だ。だが、レストランへ向かうか、家へ帰るか、はたまた街の中を捜し歩くか燎は迷った。
レストランならば大通りを渡った向こう。家は反対側だ。道路を渡るか渡らず戻るか。いつもならそんな判断に迷うことはないのに、点滅する青信号に燎の足は止まってしまい、大通りを渡り損ねた。

方々からの人波が燎の迷いを弄する様に渦巻いて通り過ぎて行く。
信号が青に変わり、人混みが燎の背中を押し出す。レストランへ向かうなら流れに乗ればいい。だが燎は人波に逆らって家へ帰る道を選んだ。
きっと食事だけで帰って来る。そう信じた。が、お人好しで男知らずの香のことだ。シンデレラの時のように断り切れず、一杯だけなら…と付き合ってしまうことも十分ありうる。

…もし、もしも、もう一軒、となっていたら?

不安に縺れがちな足取りで帰り着いたアパートを見上げれば、リビングの明かりが見えた。
燎はバカみたいに大きく安堵の息をついて階段を駆け上がり、玄関扉を開けた。

「香!」
だが、家の中には誰の気配もなく、ただ煌々と蛍光灯が点いているだけだ。

「香…?」
リビングに虚しくはね返った声で、明かりを消さずに家を飛び出したことを思い出す。
喉の奥がザワザワして首を掻きむしってみたが、苦しさは増すばかりだ。
香が帰ってきていない。
目眩がする。


「燎?」

突然の背後からの声に振り向けば、少し赤い顔をした香があの夜と同じ服で立っていた。
香の気配に気づかないなんてどうかしていると思いながら、燎は今度こそ本当に安堵の息を吐いた。

「ぉ…遅かった、な。」
「そう?予定通りよ。燎も今帰り?」
「え?あぁ…うん。」
ジャケットも着たままリビングの真ん中に突っ立っているのだから帰宅直後なのは一目瞭然だ。
脇をすり抜けた香が、ふぅ、と熱を持った息を吐いてソファーに沈む。

「随分と飲んだな?」
「そぉんなことないわよ。」
「顔が赤いぞ。」
上機嫌な香に反し、燎の機嫌は下降の一途。

「いいじゃない。どうせ、燎だって楽しく飲んで来たんでしょ?」
「俺は―― 」
「そんなことより聞いて!いい話があるのよ。」
燎の言葉を遮り、香が肩から外したストールを無邪気にヒラヒラと舞わせて見せる。

「田岡さんからね、専属になって欲しいっていうお話をもらったの。」
「専属ぅ?」
「そう。専属料は毎月50万円。仕事があったら、別途、実働時間で計算。仕事がなくても毎月50万円入るのよ。どう~?良い話でしょ?」
「専属じゃ、別の仕事は受けられないじゃないか。」
「別の仕事は受けて良いって。でも、仕事が重なったら田岡さんを優先するのが約束。」
「…なんで俺らに専属なんて頼んで来たんだ。」
「今回のことであたしたちを評価してくれたのよ。尤も、活躍したのはあたしだけどね~」

香は得意気だが、田岡の裏のコンサル業を分かっているとは思えなかった。

「おまえ…あいつの仕事を分かってるのか?」
「経営コンサルタントでしょ?」
「ただの経営コンサルが専属のガードを雇う必要があるか?危険な仕事をしてるってことだろう。」
「そんなこと…」
「そんなことないか?なぜそう言える?調べたのか?確認したのか?」
思いがけず厳しい口調で責めたてたら、香が口を尖らせた。

「男の依頼だから…」
「あ?」
「依頼主が男だから受けたくないんでしょ?!…いいわよ、あたしが受けるわ。田岡さん、あたしだけでも良いって言ってくれたんだから。」
「お…おまえだけ受けてどうするんだ!」
「ガードはいいから、コンサルを手伝ってくれって。」
「それはシティーハンターの仕事じゃねぇ!ただのバイトだろうが。」
「だったら何よ!あんたのおかげでシティーハンターは開店休業続きじゃない!」
言い分が尤もなだけに燎は二の句が継げなかったが、香が一人で田岡の仕事を手伝うなんて絶対に認められない。

「とにかく、シティーハンターの仕事はおまえ一人で受けるな!」
「だからこれは、シティーハンターの仕事じゃないわ。あたしが受けるのよ!」
「へぇ。じゃ、何かあっても一人で切り抜けられるんだな?」
「えぇ、やるわよ!たとえ何かあっても放っといて!」
突き放す言葉に燎は言い返せず、ぐっと息を飲んだ。

「…田岡さん、あたしの仕事を褒めてくれたんだから…。暴力なしに取り戻せて良かった、って。」
強気の様子から一転、肩を小さくして俯き気味に呟く。

「―― 燎の足手纏いになってばっかりだから、あたし一人で出来る仕事なら…ってそう思っただけなのに。何がいけないの?」
出逢って間もない頃ならいざ知らず、今更、香が足手纏いだなんて燎は思っていない。けれど香は、依然として燎の足手纏いだと思っている。そのすれ違いは大きい。大きすぎる。

「香…」
このまますれ違ってしまったら二度と香を引き戻せないと分かっているのに巧い言葉が見つからない。ナンパ相手にはいくらでも出て来る褒め言葉が香にはさっぱり出てこない。
見つからない言葉の代わりにそっと髪に触れたら、香が唐突にその手を掴み、ぐしゃぐしゃっと自分の髪を乱した。

「な、何だよいきなり!」
「……なんで?なんで燎だと違うの?」
「は?」
「田岡さんすごく優しかったのに…燎なんか、ひとっつも優しくないのに、どうして?」
「な、何がどうなんだよ…」
訳が分からず燎は手を引っ込めようとしたが、香に両手で握られてはどうにも離せない。

「…どうしたんだ。」
俯く香にゆっくり尋ねる。
「田岡さんも、撫でてくれた。」
「あ?」
田岡が香の髪に触れたというのか?一体なぜ?続く言葉が怖くて燎は握られた手を振りほどけない。

「だって…、違うんだもん!」
「違う?」
「おかしい。あたし絶対、変!」
「変って…」
「だって!」
うわずった声で顔を上げ、真っ赤な顔で燎を仰ぎ見る。酔って赤らんだ顔じゃない。

「燎の手…」
「あ?」
「ドキドキするの。」
「あ、あぁ。」

恥ずかし気に目を伏せると、香は骨太の手を握り直し、おずおずと自分の頬へと寄せた。
燎は手のひらにふわりと広がった柔らかな頬の感触と温もりに息を飲む。指先に触れた耳朶をそっとなぞれば、香が細い顎を上げ、潤んだ瞳で燎を見た。 

「燎」と呼ばれた気がするけれど、その声は重ねた唇で溶かして消した。
両手で包めば香の頬はますます熱い。薄紅を引くようにそっと唇を舐めて舌を滑り込ませれば、燎の指に温かい涙が伝った。


「初嵐-4」につづく

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

初嵐-2

そんなふうに恋のつり橋を行きつ戻りつしていた燎と香に舞い込んで来たのが、経営コンサルタントである田岡淳一の依頼だった。

田岡の依頼は「元部下に盗まれた書類を取り戻して欲しい。」という、久々のシティーハンターらしい(?)内容だった。おまけに報酬は100万円。ここのところ仕事はあっても収入どころか支出にしか繋がらなかったために、火の車どころか灰と化す寸前の家計も潤うとあって香は小躍りした。

だがしかし、依頼人は男である。

「男の依頼を受けるぐらいなら、俺は霞を食って生きる!そうだ!かすみちゃんの所に行こーっと♡」
「あたしを餓死させる気か!冗談じゃないわ!!今すぐその元部下のところへ行くわよ!」

駄々を捏ねる燎の首根っこを引っ張り犯人を訪ねると、意外にも仕事は1日で片付いた。
そう。仕事を片付けたのは香だった。
香に諭された元部下が、ころっと改心して書類を田岡に返したからだ。
で、その人身掌握術に感心した田岡が、是非にと香を誘ったのである。


「デートと言うと、すぐに男女関係を連想するのは日本人の悪い癖ですね。僕は、二人で向かい合って色々と理解し合うのを楽しむのが、デートだと思うんです。だから僕は男性ともデートをするし、子供とも年配者とも楽しむ。香さんとは…そう、ビジネスデートです。」
「ビジネスデート…?」
「はい。そうです。今回のあなたの対応はとても素早くて適切だった。でも、もっといい方法があるかも知れません。どうです?食事をしながら今回の仕事を振り返ってみませんか?」

田岡は香の仕事熱心な性格を見抜いて“ビジネス”をキーワードにした。
“仕事”という冠がつけば、たとえ自分の命に危険が及んでもやり遂げようとする香だ。
一緒に食事に行くのが“仕事”の延長線だと言われれば、断るべくもない。

弱味に付け込みやがってと眉を歪めた燎だったが、果たして“仕事熱心”は香の長所であり短所ではない。短所でないなら弱味でもないから、付け込んだわけでもない。
さりとて、ビジネスデートなら俺も同行する、などとは言えない燎だ。“二人で”を強調する田岡にそんな提案するのは、嫉妬心丸見えで男が廃る。
下手なプライドに拘った燎は、田岡の提案に文句も言えず、歯ぎしりをするしかなかった。


「じゃ、あたし出かけて来るから。」
「…ご大層なこったな。態々着替えてお出かけかよ。」
「だって、高級フランス料理よぉ。ジーンズにTシャツって訳にはいかないわ。」
「ま、希少な機会だ…楽しんでくれば?」
「…え~ぇ、もちろん!楽しんで来るわよ!!」

香は声高にそう宣言し、ソファーに寝転び『PLAY BOY』を盾にして目を合わせようとしない燎に、ふんっと鼻を鳴らすと、ガチャンと音を立てて玄関を出て行った。

「ちッ、人の気も知らねぇで…」

その服を着て出掛ける香なんか見たくなかった。
今もまだ、ほろ苦い思い出ででしかない。キスさえ奪えなかったシンデレラとのデート。あの時に香が着ていた服だ。
あの時と違うのは、今日は、ウィッグを着けていないこと。いつもの、ショートカットの香だということ。
チャラチャラした服は着るなという燎の言い付けを真面目に守る香のワードローブは、その殆どがカジュアルかスポーティなデザインで、艶っぽい服は数えるほどしかない。
それでも選択肢はいくつかあるだろうに、香が田岡とのデートに選んだのは、よりによってその服だった。
燎への当てつけなのか、単に打って付けだと判断しただけなのかは分からない。
ただ、何を着て行こうかと悩んでいた顔は、決して嫌そうではなかった。かと言って嬉しそうでもなかったが…つまり、まんざらでもない。そんな顔だ。

「くそったれ…」
遠くなってゆく香の気配を引き戻す術もない苛立ちをどうにもできずに雑誌を床へ投げつけると、八つ当たりされた『PLAY BOY』の美女が嗤った。

「くそぁっ!」
声を荒げてソファーから跳ね上がり、リビングの明かりも消さずに家を飛び出す。行くあてなどない。ただ、独り悶々と家の中にいるのに耐えられなかったのだ。


美樹が奥多摩で怪我をして以来、燎は、Cat’sに寄り付かなくなっていた。むさくるしい坊主頭なぞ眺めてもコーヒーが不味くなるだけだというのが言い分だが、美樹の見舞いだ手伝いだ、と足げくCat’sに通う香とどんな顔して一緒にいればいいのか分からないのが実際のところだろう。そんな燎はナンパに勤しむでもなく、昼間っから歌舞伎町界隈をグルグルと歩き廻り、日が暮れれば誘われるに任せて飲み歩く、といった行動を繰り返していた。
情報屋や街のヤクザらは、何かを探っているのだと勘ぐって暫くその行動をつぶさに観察していたが、燎の生気のない表情に次第に首を傾げ始めていた。


「そんな呆けた顔をしていると、殺(や)られちゃうぜ?」

情報屋のテツにプラカードの影から声を掛けられ、ハッと振り返る。

「燎ちゃんらしくねぇなぁ。俺の前を素通りするなんて。一体、最近どうしたってんだい?」
「別にぃ。 どうもないさ…。」
「…シティーハンターが喧嘩別れしたらしい、って噂が流れてるけど?」
「はぁ?! 何だそりゃ!」
「香ちゃんと喧嘩したなら早めに仲直りしなよ。頭下げりゃいいの。女には男の矜持も面子も分からんぇ。頭下げてゴメンナサイ。それで丸く治まる。」
「喧嘩もしてねぇし、頭下げなきゃいけない事もしてねぇ。」
「ほらほら、それさ。燎ちゃんが正しいかどうかなんて関係ないの。香ちゃんが正しいの。間違っていても正しいの。」
「け。カラスも白かよ。」
「そう。それに…二人が別れたとなると、香ちゃん、危ないぜ。」
「…分かってるよ。バカな逆恨み持つ奴が狙うってんだろ。」
「違うよ。」
「違う?」
「香ちゃんが独立するなら是非来てもらえと、色々な組が躍起になってる。」
「あぁ?なんでそうなるんだ。」
「香ちゃんは何年も燎ちゃんとやってきたんだぜ?裏のノウハウだってそれなりに身についてるし、度胸もいい。おまけにトラップ技術は海坊主仕込みだ。逆恨みなんかとんでもない。裏社会のヘッドハンターが狙うトップ人材さ。」

全く予想外の展開に燎は開いた口が塞がらなかった。
自分が手放せば香は裏社会から縁を切れるはず、そう信じて疑わずに裏社会とは一定の距離を置かせていたつもりだったのに、自分と過ごしていること自体が香を見事な裏社会のコンサルに成長させていたというわけだ。

「それにな、燎ちゃんが手放したとなったら嫁に欲しいって奴らも列をなしてるんだ。美人でスタイルはいいし、面倒見もいいから組の姉御にぴったりだってよ。」
言葉も見つからず、燎はあんぐりと口を開けたまま立ち尽くした。

「今はまだどの組も手を出しかねているが、燎ちゃんの態度がそんなままだと、明日にでも香ちゃんの争奪戦が始まるぜ。」
「そぅだつせん だぁ?」
俄には信じがたい、そんな目で見てもテツは動じない。洒落や冗談の情報ではないということだ。

「そういやぁ、さっき、随分と洒落込んだ香ちゃん見かけたゼ。」
「あれは、仕事だ! しーごーと。」
「へぇ。最近はああいう輩とも組むのかい?」
「――ああいう輩?」
「なんだい、知らないのか?ますます燎ちゃんらしくないねぇ。あいつは最近頭角を現しているフリーの経済コンサルさ。」
「それは、知ってる。」
「裏の、ってことも?」
「裏?」
「組関係の会社の経営コンサルも請負ってるのさ。」
「……。」

燎はポケットから取り出した万札数枚を無言で渡し、足早にその場を離れた。テツがちらりと見やれば、頬を歪めた燎から少々の殺気が放たれていた。


「初嵐-3」につづく

テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

初嵐-1

依頼人に惚れられるのは何も燎の専売特許じゃない。
折に触れ、香にだってそのチャンスは到来している。
ただ、これまでは、香自身の感度不良と燎の妨害のために、大多数の依頼人は香とのデートという入口に立つことすら出来なかっただけだ。


**********

「じゃぁ香ちゃん、あとでね!」
香より幾分か年上で背も高く、燎より年下らしいが背丈はほぼ同じその男は、数多の障害を乗り越えて香とのデートを取り付けた。

「田岡さん、あとで!」
玄関先で手を振れば、田岡と呼ばれた男は良質なグレーのスーツ姿で笑って応え、香の胸の中をくすぐった。

**********

奥多摩の騒ぎからこっち、燎は少ずつ香に甘え出した。
蝙蝠の件が解決した時にはキスもしたし、「今度、おまえを抱くから」なんて宣言もした。

香も少しずつ近づく二人の間合いに次を期待し、朝に夕にと燎の背中を見つめる時間は増える一方で、けれど、上手く甘えられる訳もなく、出来る事と言えばハンマーの重さを100tから10tへ減らすぐらいだった。

それでも燎と香はシティーハンター異常なし、とでも主張する様に平静を装っていたが、二人を知る者から見れば、お互いを必死に目で追う様子には苦笑しか出ず、二人が相当揶揄い甲斐のあるバカップルになるのはもはや秒読み段階だと信じて疑わなかった。

ところが。
燎の香への甘えときたら、洗濯物を隠してみたりとか、皿洗いを手伝う振りして泡を飛ばしたりという小学生レベルの悪戯がエスカレートしてゆくだけで、挙句、掃除中の香のスカートを覗いて、「なんだ、白か」なんて言うものだから、ハンマーを喰らう数は減るどころか増えていた。


「まったく…燎の奴ったら、ただのセクハラオヤジだわ。」
養生を続ける美樹に代わってカウンターに立つ海坊主は、香の愚痴に溜息するしかなく、黙って二杯目のコーヒーを注いだ。
「相変わらず男の依頼は受けないし、買ったばっかりのあたしのブラは隠すし、バスタオルは持っていっちゃうし…。」
「バスタオル?」
「あたしがシャワー浴びてる間に持てっちゃうのよ。お陰で部屋の中を裸でうろつく羽目に…。」
そこまで言って真っ赤になった海坊主気づいた香は、慌ててコーヒーを飲み干し、海坊主以上に赤い顔をして店を出て行った。


「…一種の幼児返りじやろうな。」
美樹の治療のためCat′sに来訪していた教授の呟きに、かずえもかすみも、そして海坊主も頷いた。

思えば燎も気の毒な男ではある。
幼少期に親を亡くし、実父とも慕った海原には思春期真っ只中に裏切られ、利用された。
娘を助けたかったケニーには自殺の片棒を掴まされ、ソニアからは長く誤解されていた。
槇村の様にパートナーになったばかりに命を落としたのは1人ではないから、燎の死神ぶりを恐れて去って行った者も少なくない。
女遊びを覚えて性欲は満たせても、心が満たされたことなどなかったろう。
そんな日常で誰かに心を許して甘えた事などなかっただろうし、甘え方すら知らなかったのだろう。

特定の誰かに低レベルな悪戯を繰り返すのは、幼児の甘えの行動だ。何を言っても何をしてもその人は自分を見捨てないという、絶対的な安心感を確かめたいがための行動だ。
教授は、燎のも正にそれで、香の自分への愛情を子供じみた悪戯で確かめているに過ぎないと見たのだ。

恋愛は人を子供にさせる。
男も女も年齢に関係なく中二病に罹る。
判断力は下がり、理性と本能のバランスが崩れ、大概は本能が先走る。
それでも二人が同時にアンバランスになる事でお互いのバランスが取れるという不思議な現象が起これば、LOVE and PEACEでめでたくゴールインとなる。

だが、今の燎の香への態度は幼稚園児の初恋レベルで、中二病にも至っていない状態だ。


「教授、香さんに教えてあげては?」
「いや、教えたところで香くんもそれに対応できるだけの恋愛スキルもないじゃろ。燎が成長するのが速いか、香ちゃんが堪えられなくなのが先か…。」
かずえの提案に、教授が他人事のように答える。

「教授ったら、冴羽さんに冷たくないですか?」
「もう、儂があやつにしてやれる事はないよ。…見守る以外はの。」
そう微笑む教授は、ほんの少しだけ寂しそうだった。



気の毒な男ではあるが、時々にその成長を見守ってくれる人がいた事は、燎の幸せだった。
どこか放って置けない危うさが、周囲の者にそうさせるのかも知れないが、海原にしろ、教授にしろ、過去のパートナーにしろ、燎の周りには常に守護神のような誰かがいた。
本人は長く気づかなかったが、燎はこれまで確かに、守られて生き延びて来たのだ。
だが、燎を守って来た者達も生きるのに精一杯だったから、燎の日々も生か死かの選択の繰り返ししかなかった。
毎日は、飯を喰らい、ナンパを楽しみ、どこかで買った恨みを清算し、ひと眠りしてまた飯を喰らうの繰り返し。
そして、生き延びる度に身体は鍛えられ、皮肉にも死神はいつも燎を避けて通り過ぎて行った。
スイーパーになって気まぐれに人助けをするのも、死神に出会う機会を増やしたかったからだ。人助けをすれば倍の恨みを買う。人助けに価値を見出していたのではない。恨みを買うために始めたスイーパーだった。
死というゴールへ辿り着くために生を保っていたようなもので、死ねないから生きていた。
燎は、人生なんてそんなものだと思っていた。

だが、香と出逢って立場も考えも逆転した。

それまでは自分が誰かを守る側に立つなど予想もしていなかった。
燎は香を守ることで自分がそれまで守られていたことに気づき、誰かを守ることの難しさを知り、そして戸惑った。

“俺はなぜ香を守っている?”

槇村に託されたから、という理由はある。だが、香は年端も行かない子供ではなかったし、香自身が守ってほしいと求めて来たこともない。
ナンパや夜遊びに口やかましくて、直ぐにハンマーを振り回してくるし、しょっちゅう怒鳴り散らすしで女らしさの欠片もないから性欲のはけ口にもできないというのに、なぜ必死に守っているのだろうと思ったことは一度ではない。

槇村の遺言を知るのは燎だけで、それを守るも反故にするも燎の胸先三寸だ。香を見放すのは簡単で、いつでもできた。けれど、何かと自分に絡んで来ては世話を焼き、裏仕事にも熱心な香は、実は頼りになったし、妙に人情派で正義感が強いところは気が合ったから、一緒にいるのが心地よかった。

そんな日々を繰り返すうちに理由などどうでも良くなって、香を守るのが自分の存在意義と感じる様になっていた。

けれど、傍に置き続けるのが香を守ることではないことも分かっていた。
だから、燎は毎夜誓っていたのだ。

“明日こそ香を表の世界へ帰してやろう。”

だが、そんな誓いは毎朝の香の笑顔で脆く崩れて、結局、香を突き放すことも出来ずに日が暮れて、また叶わぬ誓いを立てるの繰返し。

そんな風に、香を守る日々の中で逡巡しながらも徐々に死を選ばなくなり、死を恐れ、死を撥ねつけて生きたいと思うようになった。そうやって燎はもうひとつの新しい“人生”を見つけた。

『愛する者のために生き延び、愛する者を守りぬく。』

しかし、新しい人生を見つけて日常が変わったかというと、なにひとつ変わらなかった。
飯を喰らい、ナンパを楽しみ、どこかで買った恨みを清算し、ひと眠りしてまた飯を喰らう…
一日のサイクルも変える必要もないように思えた。

ただ、死ぬためから生きるための毎日に変わって、欲が出た。

香が欲しい、という欲だ。

「初嵐-2」につづく
 

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テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

Report#8 「CITY HUNTERのすべて」感想


会期末ぎりぎりの9月22日、「愛と宿命のマグナム」を小倉の映画館が35㎜フィルムで上映すると知り、色々放り出して行ってまいりました!!
・・・行って良かった ( *´艸`)

吉祥寺やJUNP展でも原画は見ましたが、「シティーハンター」という漫画を体系的に展示した本特別展は、CHファンとしては勿論、博物館・美術館フリークの期待も裏切らない充実の内容でした。
以下、甚だ個人的感想&勝手な分析です。例によって駄文長文ですが、よろしければお付き合いください。
(以下、シティーハンターは「CH」、北九州市漫画ミュージアムは「北九州市MM」と表記します。)


「CHのすべて」では、CHを「MISSION.1 シティーハンター/その存在を探れ!」「MISSION.2 シティーハンター/その魅力を解明せよ!」「MISSION.3 アニメ・シティーハンターの世界に飛び込め!」の3テーマに分類して展示していました。


MISSION.1では、CHの設定を紹介すると共に、ファン投票で1位、2位になったエピソードの原画を丸ごと展示。
一般的には北条先生と編集担当しか体験できない、原画で漫画を読むという贅沢を味わえる展示でした。
また、展示されている2エピソードの原画は写真もSNSへのUPもOK。これは、北九州市MMと作者側で同意ができていないと実現しないと思うのですが、著作権に煩い昨今の中でなかなかの太っ腹で嬉しい限りです。
ところで、通常は、展示内容を決めるのは開催者(北九州市MM)ですが、一般から投票で展示内容を選ぶというのは斬新で有効な集客手段だなぁと感心しました(投票した人は、思わず展示に足を運びたくなりますもんね!)。


MISSION.2では、個々のキャラクターを紹介すると共に、各キャラの魅力が分かる原画が展示されていました。
個人的には、このコーナーで“膝枕シーン”の原画が見られたのが感動でした。
そして、このコーナーでは、CHの魅力を北条先生の(1)構成力(2)アクションシーン(3)作劇テクニック(4)描画力の面から分析しており、これがとても興味深かったです。
CHの魅力である絵と物語を具体的に分析してみるとどういうことかが解説されておりましたので、この展示内容から更にKAIBA的に分析してみました。

(1)構成力
いわゆるコマ割り。CHは比較的コマ数の多い漫画ですが、読んでいて疲れることがあまりありません。
人間の視線は、右上から左下へと流れるそうで、新聞や雑誌も見出しは大体右上にあり、文章の結論は左下にやってくるように構成されています。
CHのコマ割りはこの人間の視線運びが楽に自然に流れる構成になっている。いわば“教科書的”なコマ割りなのですが、基本を貫くのは一番難しい…。

CHのコマ割りを次のシーンを例に分析してみましょう。
1Pで右→左へと視線が動くようになっていますが(黄色)、見開き2Pでもこの流れが保たれています(オレンジ色)。そして、重要なシーンは見開き2Pの右上から斜め左下のライン(水色)上にあるように構成されている。
CHはほとんどがこの構成で描かれており、絵の綺麗さのみならず、読みやすさが追及されているのが分かります。
そして、次ページへの捲りの部分となる溜めの絵(左下のコマ)の持って来かたが大変効果的。1Pの話が右上から左下への流れなのは同じでも、捲りとするか見開きにするかで、「俺のおまえへの あ…」のシーンの印象が大きく違ってきます。

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もうひとつ、コマ割りの妙を見てみましょう。
シンデレラ回のあわやキスか?というシーンですが、ここはあえて人の視線を惑わせるような構成になっています。それまで右上から左下という基本的構成であったのを、ここでは敢えて読者の視線をさまよわせることで不安にさせ、複雑な香の心情とシンクロできる構成になっています。策士ですな。

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また、CHは余白を持たせることで想像力を掻き立てられる構成にもなっています。
「バカはどっちだよ…」と落涙させながら叫ぶ香に、獠もミックもショックを受け、二人の背景はどちらも真っ白。でも、獠とミックでは受けたショックの質も大きさも違うはず。
実験的に、ここの獠の背景をベタ塗りや集中線にしてみるとどうなるか。獠のうけるショックの大きさがむしろ小さく感じませんか?
あえて背景を白くすることで、読者側の想像を増幅させる作用を持たせているのが分かる手法だと思います。

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(2)アクションシーン
静的表現である絵(漫画)に動きを与えるのは本当に難しい。
CHは主にアングルを多面的にすることで一面的な絵が頭の中で立体的に想像できるように構成されています。
アクションシーンではありませんが手法は同じなので、次のページで分析してみましょう。

2-1.png


このページを実写で撮ると仮定してみると、少なくともカメラが4台は欲しい構成になっています。
つまり、カメラ①が燎と香を引きやアップで撮り、カメラ②がミックを撮り、カメラ③で燎と香をカメラ①とは逆の位置から撮り、カメラ④が煽りで撮るといった具合。
このページは全て読者の目がカメラになっている構図ですが、アクションシーンではこの多面的な視点に加え、登場人物の視線=読者視線の“主観ショット”が使われており(香が落涙するコマがこれですね。燎の視線=読者の視線)、更に奥行きのあるものになっている。
アクションの多い漫画は集中線を多用するきらいがありますが、集中線が多ければ動きが出るかというとそうではない。CHは集中線がなくてもなお動きが保たれるのですから、実写で言うところのカメラワークの妙ですね。CHをコマ運びのとおりに実写で再現しようと思ったら結構大変だと思います。
しかしこの多面的なアングル、画力がなければできるものではありませんから、やっぱり北条先生すごい。

(3)作劇テクニック
CHはJUNP連載時の1回の掲載ページが平均20Pぐらいでした。全336話として原稿数はざっと6800枚。エピソード数55として、ひとつのエピソードに割けるページ数は平均約120枚。
その中で、各エピソードの冒頭4Pでゲストキャラの性格付けや各エピソードの話の導入が大体まとめられている。
この作劇テクニックが光るエピソードとして紹介されていたのが、伍島あずさと小林みゆきのエピソードでした。
再読すると確かに最初の4Pで概ね話の方向性がまとまっています。これは、編集の力もあるのかな。

(4)描画力
北条先生の絵はその美麗さと特徴から“北条絵”と名称がつくほどです。中でも女性キャラは“北条美人”などとも言われ、その描写力は変化こそすれ劣化は見られません。
特に、CHの連載期間は、北条先生の画力が劇的に上がっていった時期であることは明らかで、連載開始時と終了時では相当な開きがありますが、バランスの良さは一貫しています。これは絵を学んだ人が鍛錬を積んだ賜物である他に、持って生まれたセンスもあると思います。
また、印象的なシーンで多用される光の表現は、新開監督の追随も許さない(笑)。モノクロなのに照度の高低まで感じられる絵は、素晴らしいの一言です。

そして、北条絵の一番の特徴は、“いやらしくない”こと。
燎のもっこりも、女性キャラの下着やヌードシーンも、セクシュアルな絵でありながら下衆なエロさはなく、見ていて不快感がありません。
北条絵は劇画調と評されることもありますが、劇画はむしろセクシュアルさやエロを誇張した絵が多いので、まるで性質が違うと思います。

以前から北条絵はもっと別の何かの絵に似ていると思っていたのですが、今回、山ほどの肉筆原稿を見て思い当たりました。西洋の宗教画に似ているのです。特にバロックからルネサンスにかけての宗教画。ルーベンス、ボッティチェッリ、ミケランジェロとかそのあたり。
西洋宗教画もヌードだらけですが、いやらしさは感じません。かといって肉感やエロスを感じないかと言うとそうではなく、触感や温もりが伝わる絵が多い。
思わず見入ってしまう北条絵は宗教画に似た魅力があるのではないでしょうか。
そういえば、燎のもっこりも神格化されている気がするし(Report#5ご参照)、CHは宗教に近い魅力があるのかもしれない…どうりでハマったら抜けられない訳だ(宗教は究極の二次元コンテンツだと思ってます)。


MISSION.3では、貴重なアニメ資料が展示されていました。
北条絵をアニメにするときには、アニメーターの方々は並々ならぬ苦労をされたのだと思います。そのあたりは、こだま監督と植田プロデューサーがトークショーで語られていましたが、多くのアニメーターさんが、冴羽燎が「二枚目キャラなのか三枚目キャラなのか分からないのでどう描けば良いのか分からない。」と困惑していたというお話が印象的でした。
読んでいれば二枚目であり三枚目であるキャラなのは明白ですが、これを、他人に伝えるための絵に起こすアニメーターさんにしてみれば、結構な難題ですよね…。
でも、それらを乗り越えた当時のスタッフの皆さんが現在のアニメ界を支える重鎮になっていることを考えると、CHアニメは日本アニメの技術を向上させた貴重な作品だったと言えるでしょう。


展示の最後には、AHと北条先生の作画過程も紹介されていました。
AHは北条先生自らが、“写実性を重視して描いた。”と仰っており、CHとは絵の質が異なります。そのため、CHの絵が好みだという読者からすると別人の絵の様になっていて評価は分かれるところですが、それにしても自らが決めたコンセプトをきちんと絵の中に落とし込めるって、すごい。
そして、ハズキルーペ使って描いておられる姿を見て、印象的な“瞳”がどうやって描かれているのか分かった気がしました。ルーペで見ながら描くって…インド細密画か!到底真似できるものではありません…orz


ところで、今回の小倉行きを決めたのは、「愛と宿命のマグナム」を35㎜フィルムで上映するという企画が決定打でした。
「愛宿」自体は、一昨年新宿で見ているのですが(Report#6ご参照)、これもデジタル上映でしたし、DVDも発売されているので、まさか35㎜フィルムが残っているとは思いませんでした。
先日のサンライズフェスではCHアニメをHDリマスターしたものが上映され、大変美しい画像だったそうですが、35㎜フィルム映画は色合いがソフトで、これはこれで捨てがたいと思うKAIBAです。
でも、これも時代の流れですね。漫画原稿と同じで保存や上映に手間がかかるフィルムはどんどん淘汰され、現在、フィルム上映ができる映画館は100館ないとか。名作「ニュー・シネマパラダイス」で描かれている“映写技師”は絶滅種に近い職業になりつつあるという訳です。
そんな35㎜フィルム上映を敢えてやろうというのですから、映画好きとしてはこれも見逃せなかった。果たして、35㎜フィルムを滞りなく扱えるものなのかと思いつつ行きましたら、期待を裏切らないトラブルをやらかしてくれました。
1回目のフィルム交換は、交換が上手く行かなかったのでしょう。暫しスクリーンが真っ暗になりました。2回目の交換は、ピンと合わせに戸惑ったのか、画像がスクリーンの上下をズレて映り込んだりしました。
デジタルでは考えられないトラブルですが、35㎜の時にはこんなことよくありました。
そんなトラブルに遭遇すると、夢の世界が唐突に立ち止まってしまい、何とも言えない不安に包まれるのですが、私はこの瞬間が嫌ではなかった。夢と現実の間に落ちたような不思議な気分になったからかもしれません。
とにかく、そんな懐かしい空気も味わえた35㎜フィルム上映での「愛宿」でした。


北条先生は“もう燎は描かない”おつもりの様ですが、こうイベントが続くと何か期待しちゃいますね。
燎の生命を握っているのは、やっぱファンかな( *´艸`)



コメント、拍手コメント御礼 2016.8~2017.8

(御礼つぶやき)
のろのろ更新している間に、AHが完結を迎え、「ジャンプ展」でCHが展示され、北九州市で濃密な「CHのすべて」が開催され、テレビ神奈川でCHアニメの再放送が始まり、新宿のサンライズフェスで謎の情報(?!)が開示され…と、30周年の時よりもよほどイベント多いですね!!
さすがに全てのイベントには参加できないので、まずは「ジャンプ展」に行ってまいりました。

感想は・・・ちょっと暴言になるので、畳みます。


さて、一年間もため込んでしまいました(*_*;) 大変申し訳ありません。
御礼です ↓↓↓

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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

春疾風-epilogue

ひしゃげた煙草に火を点ける。
愛用のジッポは、数日前にツケの質草にとマスターへ預けていたのだった。そんなことすっかり忘れていたのだが、香がいつの間にか質出しして取り戻し、リビングの灰皿へ戻してくれていたらしい。

「酔っぱらってたから覚えてないでしょ。でも、燎ちゃんがジッポ置いてく度に香ちゃんがこまめにツケを払いに来るから逆に申し訳なくて…困るんだよね。」
「ツケ払ってなんで文句言われなきゃなんねーんだ。」

手元に置かれたグラスを乱暴に煽ると、自分で払いに来たことなんか一度もないくせに。と詰られた。

「ったく厭らしい奴だよお前は。そんなものでカオリの愛情を量るなんて。」
そう言って、隣に座る金髪堕天使が俺の手からジッポを掠め取る。
「リョウ、香がいつジッポがないって気づくか試してるんだろ?好きな男の愛用品が見当たらないとなりゃ、探してやりたいと思うのが女心だもんな。そうやって愛されてるのを確認したいんだろ?」
「はぁ?! 燎ちゃん本気?」
「んな訳あるか!!」

唾を飛ばして否定してみたものの、マスターもミックも小馬鹿にした笑みを浮かべるばかり。
確かに、香が俺のライターひとつにも気をかけてくれていると知った時には胸がくすぐったくて、つい悪戯心で何度か同じ事をした。だが、もうやるまい。俺はそう心に誓い、ミックの手からジッポを奪い返してポケットに捻じ込んだ。


「で、どこまで奴らを追っかけて行ったんだ?」
「成田。」
「ご苦労なこったな。奴らの行き先は分かったのか?」
「あぁ。やはりP国だった。」
「NSF研究所から消えたアメリカ人研修生は?」
「そいつは、もうアメリカのメディカル・フォー本社に戻ってる。NSFには、業務の関係で研修は急遽取り止め。無断で帰国して申し訳ないと電話が一本入っただけだったらしい。」
「球根は取り戻せずじまいか…。」
「仕方ないだろう。だが、球根がP国に持ち込まれれば、メディカル・フォーの陰謀の証拠とできる。そうすれば…」
「P国への軍事支援を画策したってことで、メディカル・フォーを叩けるわけか。」
「そう言う事だ。そうなればあの球根は表には出ないさ。」
「ま、すっきりはしないが良しとするか。」

火野と菜都芽には、犯人はメディカル・フォーで、球根はアメリカ当局が処分したとでも伝えればいいだろう。

「ところでミック、お前はこの事を記事にするのか?」
「いや。」
「何でだよ。スクープじゃねぇか。」
「生臭いニュースは苦手なんだ。」
「ま、書かなくても高額報酬が手に入るか。」
「リョウ…何が言いたい?」

白い手袋で弄んでいたグラスをカウンターに置くと、ミックは鋭い目で俺を睨んだ。

「WEEKLY NEWSの特派記者に“ミック・エンジェル”なんていねぇ。」
「調べたのか?」
「俺の情報網をバカにするなよ。」

さゆりさんに電話一本かけて聞いただけだが、彼女はミックの存在を露ほども知らなかった。日本支部の編集長だった彼女が知らない特派記者などいる筈がない。

「お前の親父さん、上院議員だったよな。」
「……。」
「裏稼業やってたお坊ちゃんが、やっと父親の役に立てるってとこか?」
「うるせぇ。」
「お互い親父には苦労するな。で、FBIか?」
「だったらどうする?」
「別に。お前がどこの誰と仕事をしようと俺らには関係ない。だが、かずえちゃんは泣かせるなよ。」
「ふ~ん“俺ら”ね。」
「うるせぇ。大体、おかしいと思ったんだ。裏稼業やってた奴が唐突にアメリカの一流紙の特派記者だなんてよ。そもそも、そんな危なっかしい転身なんかできる訳がない。裏で買った恨みを自ら表に曝け出すようなもんだ。」
「ま、リョウにはその内バレるだろうと思っていたが。…かずえには黙っていてくれ。」
「家族にも身分は明かせない。スパイの掟ってやつか。」
「カオリにも、黙ってろよ。」
「誰が言うか、馬鹿。そもそもあいつはお前の秘密になんか興味ねぇよ。」
「惚気か? 自分はもうカオリに隠し事はないってわけか。」
「ふん。」
「ま、多少立場は変わったが、今後も頼むぜ、相棒。」
「じょーだんじゃねぇ。俺の相棒は香一人で十分だ。」

何杯目かのバーボンを飲み干して席を立つ。ミックがまだ付き合えと目配せしてきたが、そんなものは無視して家路についた。

12時前に家に着けば、玄関でパジャマ姿の香と鉢合わせした。
「おかえり燎、早かったのね。」
いつも変わらぬ迎え言葉。それが、今晩はやけに嬉しかった。

「ジッポ、サンキューな。」
「え?」
「バーに取りに行ってくれただろ。」
「あぁ…。だって、好きなんでしょ?」
「へ?」
「そのジッポ。」
「あ、あぁ。」
「好きなら質草に置いてきたりしなきゃいいのに。」
「…そうだな。もう、しないよ。」
「そうかしら。」
「しねぇよ。俺だって…好きなものは失くしたくない。」
「そう。」
「あぁ。」
「あたし、もう寝るね。おやすみ」
「おやすみ。」


好きなものはジッポだけじゃない。そんな意味も込めて見つめてみたが、香にそんな変化球は通じなかった。まぁいいさ。きっと俺達の春は近い。そんな予感がしてならない。
春疾風が俺の背中を押したら、その時は、香に甘いセリフのひとつも言ってやろう。

(終)


「始末書」 よろしければ、読了後にお付き合いください↓↓↓

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CITY HUNTER二次小説の迷宮でございます。

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